【バス釣り】本当にいた・・・。山間部の野池で私はブラックバスに出会った。

2024年1月23日ライフバス釣り, 野池

【バス釣り】本当にいた・・・。山間部の野池で私はブラックバスに出会った。

10歳くらいの頃だったように思う。私はその話を当時釣り好きだった歳の離れたいとこから聞いた。

「この前ブラックバスを釣りに行って、ブルーギルが釣れちゃった。」

「あの山の公園近くの池なんだけど、それが全然。友達は結構釣ってて、でもブルーギルばっかり・・。」いとこは少し悔しそうでいて、でもどこか嬉しそうな表情で話していた。

海釣りしか知らない私の心は得体の知らない何かを見つけたみたいにワクワクで包まれた。

14歳、初夏。

学校で出会った釣り好きの友人に付き添って私はブラックバスの生息する山間部の池へ行くことになった。

友人は餌釣りもするしルアー釣りもする。両生類と爬虫類それに魚類を愛する少し変わったやつだ。

家ではどこで買ってきたのか分からない普段はピクリとも動こうとしない古代魚を飼育していた。

彼に付き添って山間部の野池に私はたどり着く。近くに自転車を止め釣り道具を持った友人の背中を追いながら歩いて池を目指した。

私はドキドキしていた。あの時の話が本当なのか確かめたかった。

少し歩くと池に着いた。

あたりは鬱蒼と木々が生い茂り池を取り囲んでいた。鳥の鳴き声、水の流れる音、普段は気にも留めない風の音がとても大きく感じた。

私にとっては冒険だった。友人がとても頼もしく感じた。

池は透明度の高いクリアウォーターだった。透き通っていて浅い場所なら底の方までよく見えた。

私は釣りもせずしばらく池を眺めていた。黒い尾ひれの魚が同じルートを2,3匹で回っているのが見えた。

「魚が泳いでいるけど、あれはなに?」
「ブラックバスだよ。」
「あれが?本当に?」
「うん。」

私はブラックバスを図鑑で見たことがあった。けれど実際に見るのは初めてだった。

なぜその時友人の言葉を素直に信じることができたのかはもう忘れてしまったけれど、私はそれ以上聞き返すのをやめた。

池にいるという噂は本当だった。

私は彼らが泳ぐ姿を見ているだけで十分満足だった。友人はじっと水面を見つめたりルアーを投げたり、一人でクスクスと笑ったり色々やっていた。

私はこの日釣りをしなかった。友人の釣りをする姿を横目にたまに通りかかるブラックバスを眺めた。それで十分だった。

友人はブルーギルを何匹か釣っていた。

「ブルーギルは釣れたけどブラックバスは釣れなかった。」いとこの言っていたあの言葉の意味が分かった気がした。

私たちはそれから幾度も池に通った。けれど一向にブラックバスは釣れなかった。

池を眺めているだけでよかった私も長く付き添っているうちにブラックバスを釣り上げたいと思うようになっていた。

私はブラックバス用のルアーを買い入門用の釣り道具セットを購入した。準備は万端だった。私は友人を誘い池に向かった。

私はこの日はじめて本気で釣りをした。

なんどもなんどもルアーを池に投げ入れた。ブラックバスからの反応がないと思えば狙う場所やルアーを変えた。

日没までずっと狙い続けた。けれどブラックバスを釣り上げることはできなかった。

さらにこの日は悲しいことにせっかく購入したルアーを無くしてしまった。釣りが嫌いになりそうだった。

帰り道。私は疲労感に包まれながら初夏の風に心を委ねた。

私の友人はというと私同様ブラックバスは一匹も釣れていなかった。けれど気持ちの切り替えがとんでもなく早くて、大好きな爬虫類の話を満面の笑みで帰宅途中の私に延々と話し続けた。

だけどなぜかそれがとても暖かく感じて、私も自然と笑顔になった。