【清掃】ホテルのベッドメイクで間違えて客の部屋に侵入してしまったアホな私。

2019年11月22日ライフ

【清掃】ホテルのベッドメイクで間違えて客の部屋に侵入してしまったアホな私。

以前海辺のホテルで客室清掃のアルバイトをした。時給は830円くらいでくそ安かったような記憶がある。業務内容は客室清掃でベッドメイク、バスルームの清掃がメインであとは掃除機をかけたり部屋を整えたりといった感じだった。

ネットの募集広告を見て面接に行った。面接場所はホテル内の物置の隅で、ホテルが客室清掃をアウトソースしている会社の社員が面接担当だった。社員は簡単に業務内容を説明し、志望動機やらなんやらを特に聞くわけでもなくいつから働けるか聞いてきた。私は「来週から大丈夫です」と答えると即採用、来週から勤務ということがその場で決まった。このスピード感。早すぎて焦った。

初日は面接担当だった社員が更衣室の案内や作業着の受け渡しなど色々面倒を見てくれた。

作業着に着替えてから社員と一緒に部屋を回った。シーツ、枕カバー、バスタオル、各種備品等の場所も同時に説明を受けた。私たちは客が利用し終わった部屋に入り、ベッドメイクだけをやっていくことになった。バスルーム、部屋の清掃はそれぞれ分担し、別の人がそれを行う。基本的には作業は分かれていた。

社員につきっきりでベッドメイクを教わりながら、部屋を回った。

ホテルの部屋数は300を超えており、私たちの担当は最上階で部屋数は25くらいだった。下の階にいくと部屋数はもう少し増えた。

部屋を回ってひとしきりベッドメイクが終わると、バスルームの清掃の説明を受けた。基本的にはきちんと洗い、備品を補充する。でも本当に時間がないときはそれ相応の対応をとると聞いた。これを聞いて少しホテルに金を出したくなくなった。

社員が話す「バスルームの清掃で気をつけておくべきこととして、髪の毛。これが落ちてないようにしてほしい。」「まあ明らかに髪の毛と違う毛も落ちてることはあるけど」

「違う毛ですか?」

「ん?うん。まあちん毛とかやろうな、知らんけど」ふつうに下ネタだった。

「あっでも女もおるから、ちん毛とまん毛やな、はぁはっははは!」

「はっはははは!」とりあえず私も合わせて笑っておいた。

下ネタ好きの社員と雑談しながら、空いた部屋を回った。客室の整え方や備品の補充などの説明も同時に受けた。そうこうしているうちに定時になり私は帰宅することとなった。夏の日差しが照りつける海辺の景色が眩しかった。

翌日も同じ作業だった。社員についてベッドメイクをする。手が空けばバスルームの清掃や備品の補充も合わせて行った。はじめて一週間が過ぎる頃には、私は一人で部屋を回り一人で部屋を整え、一人で清掃まで出来るようになっていた。つまり一室清掃が出来るようになっていた。

ホテルには色んな人が働いていた。日本人はもちろん多いが同じくらい外国人が多かった。エジプト出身の人もいた。彼は片言の日本語しか話せず、英語で喋ることが多かった。彼はよく遅刻したしイヤホンをしながら作業していたし、時間にもこだわりがないようで急いで仕事をしようともしなかった。もちろん残業はしない。遅刻した日も、しなかった日も定時で帰る。それでも人手不足なのか彼に冷たくあたる人はいなかった。

これは清掃中に耳にした話だが、国によって文化が違うので外国人でも一括りにすることはできないらしい。その国の文化が業務に影響するとのことで、あの国の人間はすぐやめるから次からは雇わないなんて普通に言っているくらいだった。

清掃業務は男女半々くらいで沢山の人が働いていた。外国人は若く日本人は高齢といった感じだった。将来の日本はこんな感じかと少し思った記憶がある。

一ヶ月が過ぎた頃、仕事にもなれてきた頃だったので油断していたのかもしれない。初めて業務上のミスをした。

ホテルの客室清掃は客が退出したあとすぐに清掃に入る。稼働率を極限まであげるために退室時間から逆算して入室可能時間を決める。我々清掃部隊は、その限られた時間の中で部屋を仕上げなければならない。

少し広めのリネン室には客の入退室を知らせるランプが付いており、それを見てから部屋に入る。むろん部屋には鍵がかかっているので、鍵を開ける係の人間に頼んで空けてもらう必要がある。

鍵開け担当が事前に開けていることが多いが、その逆で開け忘れていることも多い。迫る時間となかなか退室しない客に清掃可能時間は削られ、結果、雑にならざるをえなかった。

私のミスというのは、備品の入れ忘れとかそういうのではない。先程あげたリネン室にある入退室を知らせるランプを見間違えたために、客がいる部屋の鍵を開けてしまったことだ。今思い返しても寒気がする。

「この部屋ですね?」「ええ、お願いします。」私は自信ありげに答えた。とにかく時間がないので早くして欲しかった。

鍵開け担当は万が一に備えて何回かノックをする。そして一声かけて客の有無を確認する。客からの返事がないので、すでに空室になっている部屋だと鍵開けも確信したらしく中に入った。するとどうしたことだろう。ベッドで熟睡している客がそこにはいた。私はぞっとした。血の気が引いた瞬間だった。

私は鍵開けと一緒に入退室ランプを確認しに戻った。するとどうしたことかランプは客が部屋にいることを示していた。ランプは黙って知らんぷりを決め込み、バカな私は晒し者になった。この件は鍵開け担当から社員に伝えるとのことで、私は部屋の清掃へ行くよう促された。

部屋が完成しだし、仕事も佳境に入った頃だった。「あの部屋の件だけど・・」下ネタ好きの社員からだった。「こういうことが起きないよう、次からは気をつけてね。」彼は優しく私を諭した。そしてそれがまた妙に堪えた。

ミスは急いでいる時に起こる。それはこの経験でしみじみと感じた。お客様に美しい部屋で気持ちのいい体験をしてもらいたいという気持ちが空回りした結果だったようにも思う。

リソースの足りない職場を回すということは何かを諦めるしか手はないのかもしれない。仮にもしそうだとすれば、現場の人間に倫理を求めるのは酷な話だと私は思う。