【海釣り】冬の海。タケノコメバルとの初遭遇。

ライフ

【海釣り】冬の海。タケノコメバルとの初遭遇。

いつだったか海でもルアーで釣れる魚がいるとの情報を私は友人から聞いた。何でもその魚は夜行性で非常に目がいいらしい。名前をメバルという。

水温が低下する晩秋から初春にかけてがメバルを岸から狙うのに適しているらしい。これも友人から聞いた。

ちょうどその時期はブラックバスが釣れなくなる季節ということもあり、私は友人に付き添ってメバル釣りに行くことにした。

友人はメバル専用のタックルを持っていた。竿は穂先が柔らかく長い。リールは確か2000番だった気がする。糸はPEにフロロカーボンのリーダーが結ばれており、リグはジグヘッドにピンテールのワームがセットされていた。

友人にメバルの釣り方を聞いた。とにかくゆっくりただ巻くこと。「他には?」私は聞き返す。けれどそれだけやればいいと友人は言う。友人のことは信用していたけれど本当にそれで魚が釣れるのか私は少し不安になった。

私はメバル専用のタックルを持っていなかったので、バス用の竿で代用した。ルアーは友人に習って釣具屋で購入しジグヘッドにピンテールをつけた。

私たちは冬の冷たい空気が手をかじかませる中、夜の港へ向かった。常夜灯のオレンジ色の灯りが夜の海を優しく照らしていた。

友人が早速釣りを始める。私も教わった通りやろうと、釣りを始める。友人に聞いた。

「速さはこれくらい?」

「速い。」

私の巻きスピードはかなり速かったらしい。友人はリールを巻くスピードを私に見せてくれた。かなり遅い。友人が手本を示してくれた速さは当時の私からすれば本当に遅かった。

私は友人が見せてくれた巻きスピードになかなか馴染めなかった。だから何度も友人に聞いた。

「これはどう?」

「速い。」

「これくらいなら?」

「まだ速い。」そんなやりとりが続いた。

友人からOKをもらうことのできた後、私たちは離れてそれぞれ釣りをした。狙いどころなども聞いた。どうやら夜の港の釣りでは壁際の明暗部がポイントだということらしい。あとは少し沖。そこには大きいのがいる。友人はそう言っていた。

私はメバルがどんな魚か知りたかったのでとにかく釣れるらしい壁際の明暗部を丁寧に探ることにした。

少し時間が経った頃友人がメバルを釣り上げた。大きい目をした可愛らしい魚がそこにはいた。私は友人にもう一度釣り方を聞いた。

「どうやって釣ったの?」

「今やってるそれとおんなじ。」

私は半信半疑だったけれど、これで釣れることが分かり俄然やる気になった。

壁際の明暗部にジグヘッドを投げ入れる。ゆっくりとゆっくりとリールを回す。ボトムなのか壁なのかは分からない。何かにルアーが一瞬引っかかり外れた時、生命感のある力強い引きが伝わってきた。

あたりだった。私は合わせを入れ、魚と格闘した。私が魚をランディングする様子に友人が引き寄せられ近くにやってきた。

暗くて大きさは分からなかったけれど、思い切って抜き上げた。常夜灯に照らされ上がってきた魚はメバルとは少し違っていた。友人に聞いた。

「この魚は?」

「それはタケノコメバル。結構美味しいよ。でもメバルの方が美味しいかも。」そう言ってカサゴによく似た魚を見て彼は微笑んだ。

私はそんな魚がいることを初めて知った。それに珍妙な名前なので友人に魚の名前をなんども聞き返した。そして何故かより一層メバルを釣り上げたくなった。

私はその後何度も壁際の明暗部にジグヘッドを投げた。結果は上々で初めの一匹と合わせて4匹のタケノコメバルを釣り上げる事に成功した。結局メバルは一匹も釣り上げることができなかったけれど、結果には満足だった。

釣り上げたタケノコメバルは大きいのも小さいのも全部海に返してやった。海でのルアー釣りが好きになった夜。寒い冬のあったかい思い出。